生活保護には「生活保護条件」があるのは知っていますか?
2018年にフジテレビ系列で生活保護をテーマにしたドラマが放映されたので、生活保護の制度を知っている人は多いと思いますが、実際に生活保護はどのような条件で受給対象になるのかや、生活保護を受給することによるメリットやデメリットなどについては知らない人も多いかもしれません。
この記事では、生活保護とはどのような制度なのかをはじめ、生活保護受給条件、生活保護を受けるとどのようなことに注意しなければいけないのかなど、生活保護に関するあらゆる情報を集めて分かりやすく解説してみました。
今、まさに生活保護を必要としている人はもちろん、今必要ないという人も将来何らかの理由で生活保護を受けなければいけないということになった場合に備えて、ぜひ覚えておいてください。
生活保護とはどのような目的でどのような人が対象の制度なのか
では、「生活保護」とはどのような制度なのでしょうか?
生活保護とは憲法に定めるところの国民の権利として、「健康で文化的な最低限度の生活を保証する」というところにつながります。
要するに健康で文化的な最低限度の生活を送ることができない人に足りないお金を支給します、というのが生活保護制度なのです。
生活保護は病気やけが、心身に障害があるなどの理由で働けない人が対象となります。
もし、あなたが今健康で元気に働いてるから生活保護制度は縁のない制度と思っているとしても、長い人生において、病気やけがは自分の身に起こる可能性もあるのです。
ですから、生活保護について詳しく知っておくことは将来への備えということにもなりますね。
少しでも多くの正しい情報を得て万が一の事態にも対応できるようにしておきましょう。
生活保護条件、どのような条件を満たせば生活保護受給対象になるのか
生活保護条件とはどのような条件なのでしょうか。
生活保護を知るためには、まずどのような場合に生活保護を受けることができるのかを知ることが大切です。
生活保護条件は大きく分けて4つの条件が必要になります。詳しく見ていきましょう。
病気、けが、障害などで働くことができない
生活保護条件として大前提となるのが働くことができないということです。
病気、けが、心身の障害など働くことができない理由は様々です。しかし、それは本当にそうでなければいけません。
そんなことは当たり前では?と思われる人もいるかもしれませんが、生活保護は不正受給が後を絶ちません。
生活保護は国のお金で行われます。
つまりそれは私たちの払った税金で行われるということなのです。
税金を使う以上、本当に必要な人のために使われなければいけませんので、生活保護が本当に必要かどうかはしっかりとチェックが行われます。
しっかりとチェックは行われますが、本当に働けず困っている人にはきちんと支給されますのでとても良い制度といえるでしょう。
家族、親戚からの支援を受けることが難しい
生活保護は国のお金、税金を使う以上できるだけ金額を抑えなくてはいけません。
なんらかの理由で働けないということが認められても、周囲で援助できる人はいないのかということをチェックされます。
家族や親せきなどで援助することができる人がいないか、その人たちに連絡を取って確認されます。
その結果支援してくれる人がいないと判断されなければ生活保護の受給対象にはならないのです。
資産を持っていない
生活保護受けるためには資産を持っていてはいけません。
貯金、土地、家、車などの資産は売却して生活資金とし、それでも生活できない状態になった場合に生活保護受給対象となるのです。
資産を売却してからでないと生活保護が受けれないというのも、生活保護が税金を使って行われていることが理由となります。
公的支援制度を他に受けることができない
生活保護条件として他の公的支援制度を受けることができないという条件があります。
例えば、生活福祉資金という低所得者や高齢者、障がい者がお金を借りることができる制度などが利用できる場合は先にそちらを利用しなければいけません。
生活保護条件、所有していてはいけないものや生活保護が受給できないケースとは?
生活保護条件を見ていく中で、どのようなものを持っていては生活保護を受けることができないのかということは重要なポイントの一つです。
また、どのような場合に生活保護が受給できないのかについても生活保護条件において大切になります。
詳しく解説していきますのでしっかりと確認しながら見てきましょう。
生活保護受給者が所有してはいけないもの一覧
生活保護受給者が持っていてはいけないものというものがあります。
生活保護は本当に生活に困っている人に対する制度のため、これから紹介するようなものを持っているとまだ余裕があるとみなされるからです
やはり税金を利用している制度である以上、できる限りのことは先にやってから受ける必要があるということなのですね。
現金はいくらまで持っていても大丈夫?
現金は最もすぐに使用できる資産と言えるでしょう。
生活保護を申請するにあたって、たくさんの現金を持っているとなれば当然その現金を先に使ってくださいということになります。
では、たくさんとはどれくらいの現金のことなのでしょうか。
これは明確に決まっているわけではありませんが、目安として10万円以上の現金を持っていると生活保護受給は難しくなる傾向にあります。
ですので10万円以上の現金を持っていてはいけないというのは一つの目安になると言えるでしょう。
生命保険などの保険について
生命保険は種類によって持っていては生活保護受給に影響が出るものがあります。
どのような保険を持っていてはいけないかというと、貯蓄性のある保険です。
例えば、何年かおきに一時金が支払われる保険や学資保険など積み立て型の保険が貯蓄性保険と言われています。
このような保険に加入している場合は、解約などを行い払い戻されたお金を使ってまずは生活をしなければいけません。
生命保険などの加入内容は見落としやすい点でもあるのでしっかりと確認するようにしましょう。
所有する土地建物について
土地建物については、すべて持っていてはいけないというものではありません。
自分が住んでいる家で資産価値が高くなく、住宅ローンを払い終わっているという場合などは所有が認められる場合があります。
また、売却が困難な土地なども資産価値がないと判断され所有が認められる場合があります。
住宅ローンの有無が不動産所有の判断基準の一つになっているのは、生活保護で受給したお金で借金を返済できないという原則があるためです。
しかし、毎月の支払いが2~3万円程度で4、5年で完済するというような場合などは所有が認められる可能性はあります。
いずれにしましても、不動産を売却するべきかそのまま所有すべきかは福祉事務所が判断することですので正直に全て話すということが大切です。
株式や投資信託など有価証券
株式や投資信託などは換金ができますので持っていてはいけないものになります。
生活保護を受ける前に株式などの有価証券は処分して生活費に充てるのはやはり当然と言えるでしょう。
持っているカード類について
先ほどの住宅ローンについてのお話でも触れましたが、生活保護で借金を返済してはいけませんし、新たに借金をしてもいけません。
ですから、キャッシングカード類は持っていてはいけないものになります。
また、自動車ローンや教育ローンなども生活保護で支払っていくことはできません。
ですから、キャッシングカードは解約しなければいけませんし、ローン中の自動車は処分しなければいけません。
各種ローンやキャッシングの残債が残る場合は、破産手続きなどの債務整理を行って整理しなければいけません。
ただ、クレジットカードにつきましては、キャッシング枠がなければ所有が認められる場合があります。
どのような基準でクレジットカードの所有が認められるかは、各地域の福祉事務所によって違いますので一度相談してみましょう。
生活保護が受給できないケースとは
生活保護条件を見ていく中で、生活保護を受給するために所有していてはいけないものなどを紹介してきました。
では、生活保護がもらえない、受給できないケースとはどのようなものがあるのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
働ける状態である場合
生活保護の相談に行く場合、通常に働くことが困難であるという前提で相談に行きます。
しかし、福祉事務所も二つ返事で生活保護の支給を決定するわけではありません。
大切な税金を使って行う生活保護ですからしっかりと調査が行われます。
生活保護を受けるためには、客観的に見て働くことが困難であると認められなければいけません。
福祉事務所に働ける状態であると判断された場合は生活保護を受けることはできなくなってしまうのです。
働くことができるのに働けないと嘘をつくのはもちろんいけませんが、本当に働けない場合もきちんとわかってもらえるように医師の診断書などの資料を提示して説明することが大切です。
家族や親族から援助が受けられる状態にある
生活保護条件として家族や親族から援助を受けることができないという条件があります。
福祉事務所は生活保護支給の判断をする際に家族などに連絡を取り援助することができるか確認をします。
その際に家族などが援助できるとなれば生活保護を受けることはできません。
生活保護は最終的なセーフティーネットですので家族が援助できる状態なのであれば、まずはそちらからということになります。
他の公的制度が利用できる
先ほど、ひとり親世帯に対する公的制度、母子寡婦福祉資金について触れましたが、他の公的制度が利用できる状態であればそちらを優先させなければいけません。
自分がどのような公的制度を受けることができるのかわからない場合は、とりあえずご自宅の地域の福祉事務所に相談に行くことをおすすめします。
福祉事務所では、生活に困っている人がどのようにして生活していけばいいか相談に乗ってくれます。
その中でどのような公的制度を受けることができるのか、他の公的制度が難しい場合は生活保護の申請をする、など解決策を見つけていくことになります。
申請内容に虚偽や不審な点がある
申請内容に虚偽があったり、福祉事務所が不審に感じることがあると生活保護が受けれなくなります。
例えば、
- 車を所有しているのに所有していない
- 銀行口座をすべて申告していない
など嘘や隠し事をしていることが発覚した場合などです。
また、職場について話さない、家族や親族への連絡や調査を拒否するなどすると福祉事務所は不審に感じます。
このようなことは生活保護受給申請が通らない原因になりますのでやめましょう。
反社会的勢力に関係がある
反社会的勢力に関係があると生活保護を受けることはできません。
反社会的勢力に関係があるとは、申請者本人が暴力団員や暴力団関係者である場合はもちろんですが、同居している家族に暴力団員や暴力団関係者がいる場合も含みます。
このような場合には生活保護を受けることができませんので注意するようにしましょう。
生活保護を受給するための基本的条件と他の公的制度との併用について
ここまで生活保護を受ける上で持っていてはいけないものというお話をしてきましたが、ここからは生活保護を受けるため、受給するための基本的な条件を見ていきましょう。
また、年金など他の公的制度と生活保護は併用できるかなどについても詳しく触れていきます。
最低生活費を収入が下回っている
生活保護条件の一つに最低生活費を自分の収入が下回っているという条件があります。
最低生活費とは
最低生活費とは住んでいる地域や家族構成などによって決められるその人(世帯)が1カ月暮らしていくのに最低限必要な金額のことです。
参考:最低生活費(厚生労働省)
1カ月働いてもこの最低生活費に収入が満たないということが生活保護の受給対象の条件になるということになるのです。
病気などの理由で働くことが出来ない
収入が最低生活費に満たないということが生活保護条件の一つですが、収入が最低生活費を下回る理由が必要になります。
例えば、病気やけがで長時間働くことができないというような理由です。
労働者には最低賃金というものが定められていますのできちんと働けば最低生活費以上の収入を得ることができます。
しかし、病気やけがで長時間働けない、または全く働けないということになれば収入は必然的に低くなってしまいます。
これが、収入が最低生活費を下回り生活保護条件を満たす一つの理由ということになるのです。
身体障害、精神障害がある
働くことができない理由として身体や精神に障害があるという場合があります。
身体や精神に障害がある場合、フルで働くことが難しかったり、全く働くことができないという場合もあるでしょう。
したがって生活保護条件の働くことができない理由として認められるということになります。
他の公的制度との併用は可能なのか?
他の公的制度と生活保護は併用できるのでしょうか?
これはできるものとできないものがあります。
例えば、年金と生活保護は併用できます。
年金がとても少ない場合で働くことが困難な場合は生活保護を受けることができます。
年金と生活保護を併用する場合は、最低生活費から年金を引いて残りの金額が生活保護の対象となります。
つまり、最低生活費に対して年金では足りない部分が生活保護で補われるということです。
生活保護と併用できない公的制度とは母子家庭、父子家庭が対象の母子寡婦福祉資金という制度です。
母子寡婦福祉資金はひとり親世帯が無利子または低金利でお金を借りることができる制度です。
ひとり親世帯が生活保護の相談に行くと母子寡婦福祉資金を進められることもあり、生活保護より優先して利用が促される制度でもあります。
生活保護はいくらもらえる?具体的な金額とは?
生活保護条件を満たせば生活保護はもらえますが、具体的にいくらもらえるのかというのは居住地域や世帯構成などによって変わります。
また、生活保護とは最低生活費と収入の差額を支給する制度です。
ですから生活保護の支給額を決めるためには生活保護を受ける人それぞれの状況を踏まえた最低生活費を算出しなければいけません。
ここからは、最低生活費の算出方法や具体的に生活保護はどのような状況でいくらもらえるのかなど、詳しくシミュレーションしていきましょう。
最低生活費とは世帯構成によって違う
最低生活費は世帯構成によって変わってきます。
単身世帯かそうでないかや子供がいるかいないか、障がい者がいるかどうかによっても変わってきます。
また、世帯人数が多ければそれだけ生活費はかかりますが、生活保護の支給額は「世帯人数×一人分の最低生活費」ということにはなりません。
これは、世帯人数が倍になれば生活費が倍かかるということではないからです。
この部分を調整するのが逓減率(ていげんりつ)といわれる数値です。
詳しくは後述しますが、世帯人数の支給額にこの数値を掛け合わせて算出されるのが支給額になるのです。
最低生活費の算出方法(H30.4 )※PDF:厚生労働省
最低生活費とは居住地域によって違う
最低生活費は居住している地域によっても変わってきます。
これは、地域により物価が違うためその公平性を保つために定められています。
つまり東京23区と地方の町では生活するためにかかる金額が変わってくるということですね。
最低生活費を算出して受給額が決まる
では、具体的に生活保護支給額を算出していきましょう。
まず住んでいる地域や世帯人数、年齢構成などを踏まえて最低生活費を算出します。
最低生活費を算出したらそこからその世帯の収入を差し引きます。
その差額が生活保護費として支給されるということになります。
つまり、世帯全体で必要なお金が、世帯全体の収入でまかなえない場合に生活保護はその足りない分を補うという仕組みなのです。
居住地域、世帯構成別最低生活費シミュレーション
実際に世帯構成を例にあげてシミュレーションしてみましょう。
世帯構成 | 大阪府大阪市在住の48歳男性 病気のため働くことができず 収入なしの場合 |
鹿児島県鹿児島市在住、 40歳と35歳の夫婦 5歳と10歳の子供4人家族 収入が10万円の場合 |
東京都渋谷区在住の75歳女性 収入、年金なしの場合 |
---|---|---|---|
生活扶助第1類基準額 | 39,360円 | 127,660円 | 33,830円 |
逓減率 | 1.000 | 0.7675 | 1.000 |
逓減率考慮後の第1類基準額 | 39,360円 | 97,980円 | 33,830円 |
生活扶助第2類基準額 | 40,800円 | 55,690円 | 4行3列 |
児童養育加算 | 0円 | 3歳~小学生1人 10,000円 | 0円 |
住宅扶助 | 40,000円 | 41,100円 | 53,700円 |
最低生活費 | 120,160円 | 204,770円 | 128,330円 |
収入 | 0円 | 100,000円 | 0円 |
生活保護支給額 | 120,160円 | 104,770円 | 128,330円 |
生活保護条件を満たして受ける生活保護のメリットとは?
生活保護条件を満たせば生活保護を受けることができます。
生活保護を受けることによって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
収入が少なくても最低限度の生活は保障される
収入が最低生活費を下回っている場合は、収入と最低生活費の差額が生活保護として支給され最低限度の生活を送ることができます。
当然、働くことができるのに働かず最低生活費との差額をもらうことはできませんが、可能な限り働いても収入が少ない場合には生活保護を受けることができます。
ですから収入が少ない人にとっては、最低限度の生活を送るための生活保護はとてもメリットがあると言えるでしょう。
病気など自分ではどうしようもない理由で働けない場合
病気やケガは誰もなりたくてなるものではありません。
自分ではどうしようもない病気やケガで働くことができなくなった場合は生活保護を受けることができます。
誰の身にも起こりうる病気やケガで働けなくなるというリスクに備えることができる生活保護は日本国民にとって高いメリットと言えるでしょう。
年金が少ない世帯の救世主
年金はみんな同じ金額ではありません。
厚生年金か国民年金かによっても違いますし、公務員など職種によっても違います。
年金が少ない人の中には年金だけでは生活できないという人もいます。
そのような場合に生活保護はまさに救世主と言えるでしょう。
年金をもらう年齢ですので働き口も若い世代に比べると少なくなってきます。
また、体力的に目いっぱい働くことも難しくなる場合もあります。
そんなときに年金と最低生活費の差額を生活保護として受け取ることができるのはメリットと言えるでしょう。
生活保護条件を満たして受ける生活保護のデメリットは?
生活保護条件を満たせば生活保護を受けることはできますが、メリットばかりではないのも事実としてあります。
では、どのような点がデメリットとしてあげられるのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
定期的にケースワーカーの訪問がある
生活保護受給者になるとケースワーカーが定期的に訪問してくるようになります。
ケースワーカーの定期訪問は、生活保護受給者の生活状況を把握することを目的としています。
訪問の間隔などは地域によって異なりますが、抜き打ちで訪問がある場合もありますので日ごろから心得ておかなければいけません。
給料明細の確認をしたり、高額な買い物などをしていないかなどお金の使い方をチェックしたりして生活保護の継続が必要かどうかの判断も行われます。
収入が十分に得られるようになっている場合や、ケースワーカーの調査にきちんと対応しなかったり、生活状況に不審な点があるなどの場合、生活保護を打ち切られる場合もあります。
わずらわしく思うかもしれませんが、生活保護は税金を使っているということや、あくまでも本当に生活が苦しい状況の人のためにある制度ですのでしっかりと対応することが大切です。
生活態度、お金の使い方をチェックされる
ケースワーカーの生活保護受給者の自宅訪問では、
- 頻繁に外食に行っていいないか
- ギャンブルにのめりこんでいないか
など生活態度のチェックが行われます。
生活水準が贅沢になっていたり、高額な買い物をしていないかなどもチェックされ、問題があれば改善指導が行われます。
生活保護は税金を使って行われている以上、あまりに贅沢な暮らしは慎むのがマナーとも言えるでしょう。
給料明細など収入をチェックされる
ケースワーカーの生活保護受給者の自宅訪問では、給料明細など現在の収入がチェックされます。
給料明細やその他の収入チェックではその人の収入がわかりますので最低生活費にどの程度足りないのかなどが判断されます。
最低生活費に足りない分を支給する生活保護は、収入が上がればその分「減額」される判断につながることもあります。
給料明細やその他の収入チェックは生活保護受給額決定の目安になりますのできちんと協力的に対応しなければいけません。
生活が苦しい状況を助けてもらう生活保護ですので不正などをしてはいけないというのは言うまでもありませんね。
ケースワーカーのアドバイスに従わないと受給が止まることも
ケースワーカーが自宅を訪問し生活保護受給者の生活をチェックする中で、改善すべき点などをアドバイスすることがあります。
ケースワーカーは適正に生活保護制度を運用するために、生活保護の目的にそぐわない生活態度などを改めるのも大事な役割となっています。
ですから、ケースワーカーのアドバイスに従わない場合は最悪生活保護の支給が止まることにもつながります。
生活保護受給者がしてはいけないこと
生活保護受給者がしてはいけないことにはどのようなものがあるのでしょうか。
先に紹介した生活状況の中で浪費をしていないかやギャンブルにのめりこんでいないかなどもそうですが、借金に関することにもしてはいけないことがあります。
詳しく見ていきましょう。
借金の返済に充ててはいけない
生活保護受給者は生活保護で受け取ったお金を借金の返済に充ててはいけないということが大前提としてあります。
生活保護のお金は必要最低限の生活を送るためのお金ですので借金の返済に充てるということは目的が異なることになってしますからです。
つまり生活保護受給者になると借金の返済ができなくなるということです。
多くの場合、生活保護を受けようと思う時点で借金の返済はできない状況であるため、その時点で債務整理や破産申請を行って借金を整理する必要があるということになります。
新たに借金をしてはいけない
生活保護費を借金の返済に充ててはいけないということですので、新たな借金もすることができません。
借金をしてしまうと生活保護費を借金の返済に充てることになるので新たな借金も禁止されているは当然と言えますね。
生活保護を受けている状態では借金することは難しいですが、何よりもお金が足りなくなることがないようにきちんと計画的に生活設計を行うようにすることが大切と言えるでしょう。
生活保護受給者の生活に関するQ&A
生活保護に関しては色々関心が高い人も多いですが、わからない点が多い、詳しい内容までは知らないという声もよく聞くところです。
ここでは、生活保護に関して多くの人が気になる質問をQ&A形式で答えていきます。
Q1:車を持っていても大丈夫?
車は原則として持っていてはいけません。
車は生活保護を申請する際に売却や処分をしなければいけません。
売却をして生活費に充てる目的でもありますが、車は所有維持するだけでもお金がかかります。
生活保護で受け取るお金を車の維持費には回せないということになるのです。
ただ、正当な理由がある場合は認められることもありますのでどうしても必要な理由がある場合は一度相談してみましょう。
Q2:家を持っていても大丈夫?
生活保護を受けるにあたり資産は処分しなければいけないという原則があります。
本人が住む家であっても原則としては処分しなければいけません。
しかし、資産価値が低い場合や処分してもローンの残債などの決済などで手元に残らない場合などは処分しなくてもいい場合があります。
これは、売却しても手元にお金が残らないうえに、賃貸住宅に入居した場合の家賃扶助よりもそのまま持ち家に住んだ方が生活保護の支給金額が抑えられる場合があるからです。
このような状況の人は、生活保護の申請の段階で相談することをおすすめします。
Q3:貯金しても大丈夫なの?
生活保護を受給している状態で貯金をすることは問題ありません。
ですが、生活保護を申請する際は貯金があると生活保護申請が認められません。
生活保護申請時の貯金の目安としては最低生活費の半分までとされています。
しかし、生活保護を受給している間は、ある程度貯金をしても問題ありません。
何か目的があり貯金する場合などケースワーカーと相談しながら貯金することをおすすめします。
Q4:クレジットカードを作ることは可能なの?
生活保護を受けているとクレジットカードを作ってはいけないのでしょうか?
特に生活保護を受けているからクレジットカードを作ってはいけないということはありません。
しかし、生活保護を受けているとクレジットカードの審査に通りません。
クレジットカードの審査の段階で返済することが困難であると判断されてしまうからです。
Q5:スマホを持っても大丈夫?
生活保護受給者がスマホ持つことは可能です。
逆にスマホがなければ連絡も取りづらいですし、仕事をするうえでも不便です。
ただ、スマホの利用料金が通常の範囲よりも高額になる場合などは指摘され改善指導される場合がありますので気を付けるようにしてください。
というわけで生活保護受給者がスマホを持つことは、むしろ積極的に行った方がいいということになります。
Q6:ペットを飼っても大丈夫?
生活保護受給者がペットを飼うことは特に問題ありません。
こちらも常識の範囲で飼うようにしましょう。
高額のペットを購入したり、ペットの飼育に高額の費用をかけることはよくありません。
場合によっては改善の指導が行われる対象にもなりますので気を付けるようにしましょう。
Q7:外食に出かけても大丈夫?
生活保護受給者が外食に出かけても問題はありません。
ただ、外食も節度を守らなければいけません。
福祉事務所も毎日見ているわけではありませんので、月に何回外食に行っているのかはわかりません。
しかし、外食ばかりして次の生活保護支給日までにお金が無くなってしまったら、理由を聞かれバレてしまう可能性もあります。
計画的に生活設計を行わなければいけないのはもちろんですが、生活保護はみんなの税金で成り立っているということを忘れずに外食もほどほどにするべきと言えるでしょう。
Q8:生活保護費の支給日は決まっているの?
お住まいの自治体によっても違いはありますが、ほとんどの自治体では「毎月5日」となっています。
地域によって違いがありますので、お住まいの地域の福祉事務所で確認していただくのが一番です。
Q9:生活保護を受給していることが近所や知り合いにバレルことはあるの?
原則として、福祉事務所は生活保護受給者のプライバシーには十分に配慮しますので、他人に生活保護受給がバレルことはありません。
ですが、生活保護の申請をすると「扶養照会」が行われますので、法的には3親等以内の親族には連絡が行くことになります。
なので、親・子・兄弟・姉妹には生活保護の受給を申請したことは知られてしまいます。
特例として、過去に対象者からDVや虐待を受けていたなどの場合には、扶養照会の連絡を検討してくれますので、担当者に相談してみましょう。
知っていれば心強い!生活保護条件とは?申請方法から条件別金額まで まとめ
生活保護条件とはどのような条件なのか?ということから具体的に生活保護はいくらもらえるのか?というところまでお話してきましたがおわかりいただけたでしょうか。
生活保護制度は税金を使っている制度であるため色々厳しい条件や受給するにあたっての注意事項、デメリットなどもあると同時に生活に本当に困ってしまった場合のセーフティーネットとして機能しているということがわかっていただけたのではないでしょうか。
健康で働けるうちはきちんと働くということが、社会人としての役目であることはもちろんですが、長い人生において誰しも病気やケガに遭遇することもあるでしょう。
そのような場合に生活保護という国の制度が利用できるということは、日本国民としてはありがたい制度と言えるでしょう。
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
ですからきちんとルールを守って、お互いの助け合いで成り立っている制度であるということを心に留めて、みんなで生活保護制度を支えていくことが大切ということになります。
生活保護制度を継続させるために、いざという時にしっかりと利用できるためにこのサイトでの案内を活かしていただければと思います。